書店員だった私と出版社に勤めていた彼が結婚したのは去年の事。
出会いはお互いの会社が取引先であったため、最初は顔見知り程度だった私達でしたが、私の職場の忘年会に彼が顔を出した事が、仲を深めることのきっかけとなりました。
「あの本のポップを書いたの誰?」という話を全体に持ちかけたのは彼で、どうやら彼がその当時好きで読んでいた本のポップを偶然うちの店で見かけ、「この人よくわかってる!」と思ったんだとか。
最近はどこの書店でもよく目にしますが、うちの書店でも、書店員が本に対して手書きで書いたレビューを商品棚に貼る、という事を販促のために実施していたのです。
その現在話題に上がっているそれを書いたのは紛れもなく私だったで、なんだか恥ずかしくでなかなか言い出せない。
その作品に関しては、私も好きなものだったので思わず熱が入り長文を書いてしまっていたのです。
そんな回想をしていると、むりやり同僚が「この人です!」と私の腕をつかんだのでした。
そこから意気投合し、好みも似通っている事がわかり…といったなれ初めであり、出会い、お互いが近づくきっかけとなったのが一冊の「小説」であった私達、やはり結婚式では、それに因んだものをなにか作れないか…と二人で考えました。
そこで考えたのは「文庫本風招待状」。
小説のカバーをはずすと、文庫本はその出版社により、それぞれ統一されたデザインにタイトル、著者名などが記されたものです。
そのデザインを招待状の表紙にしたい、と考えたのです。
そのデザイン自体は割とシンプルなので、招待状としても嫌味がありませんし、これはいいと我ながら自信満々に彼にプレゼンし、彼も気に入ってくれたのでした。
表紙、裏表紙は文庫本のデザインをなぞり、著者名は私達2人。
そして中身の本文も縦書きにし、本物の小説風に。
そして受付や集合写真の案内を伝えるふせんは、ポップ風デザインに。
会場地図は、本に挟むしおりのようなデザインに(すこし細長くなってしまいましたがなんとかおさめました)小説の中にしおりとポップが挟まっているようなイメージです。
もちろん用紙にもこだわり、文庫本に近い素材をあつめ、使用しました。
そして彼からの提案で、表紙の用紙と中紙を留める紐も赤色の、本に付属の紐のしおりの様な素材のものにしました。
本好きな私達らしい招待状になり2人ではやく送りたいねとそわそわした日を私は鮮明に覚えています。
その後入籍をしたのは挙式当日でしたが私達の結婚生活、そこからが一ページ目であったと私は考えています。